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OCFLの先生が馬術世界選手権で公式通訳を務めました!


英語通訳翻訳科学科主任の中嶋先生が、今秋、米国で開催された馬術の世界選手権で日本チームの通訳を務められました。以下、先生のレポートをご紹介します。


 2010年10月、私はアメリカ・ケンタッキー州レキシントン市に約2週間滞在しました。馬術界ではオリンピック、パラリンピックと並ぶ最高峰の大会、「FEI世界馬術選手権大会」(FEI World Equestrian Games)がこの地で行われたからです。今回の大会は、馬術界において非常に大きな意義のあるものでした。それは、「初めてヨーロッパ以外での開催」「初めて8種目の世界選手権が一度に行われる」「初めて大会名に冠スポンサーがつく」記念すべき大会だったからです。
私は、8種目の内、パラドレッサージ(障害者馬場馬術)種目の日本代表チームに加わりました。チームでの役割は、通訳・リエゾン担当。大会組織委員会などと選手・役員との間に立って通訳することはもちろんのこと、多種多様な事務手続きなどを一手に引き受ける係です。更に、実は日本チーム内も国際色豊かでした。パラドレッサージ日本代表チームのスタッフの内、アメリカ人2名、メキシコ人とオランダ人がそれぞれ1名いたからです。選手3人の内2名がお借りした馬のオーナーのJayneさん、Jayneさんが経営する厩舎スタッフのJennyさんとChabelloさん、そしてオランダ人のトレーナーのMarcelさん・・・みんな共通語は英語です。世界を股にかけて戦わなければならない馬術の世界では、チームが国際化していることは当然です。そこで、チーム内の意思疎通をしっかりする為にも通訳が必要なのです。通訳と言っても、ただ語学に堪能というだけではダメで、競技に関する知識や用語、そして障害者のスポーツなので医療的な知識・用語も必須で、そのおかげで私がパラドレッサージ日本チームから度々お声がかかるのです。
 実は私、3〜4年毎に行われる「世界選手権」の日本チーム通訳はこれが4度目で、なかなかのベテランとも言えます。しかし、今回はこれまでとは大きく違っていました。第一に、パラドレッサージの世界選手権はこれまで単独で行われてきました。今回、史上初めて他の健常者の種目の世界選手権大会と統一されたのです。大会規模は正に雲泥の差です。レキシントン市は、World’s Horse Capital (世界の馬の首都)と胸を張る町で、競馬場はもちろん、牧場もあちこちにあり、白い柵が道路沿いに延々と続きます。そのレキシントン市が誇る施設が、今回の大会会場となった「ケンタッキー・ホースパーク」。面積がなんと1700エーカー(=688万平方メートル=200万坪)以上!!あまりの数字にピンと来ませんが、ざっと計算すると東京ドーム148個分以上だそうです。こんな広い会場はもちろん初めてですし、ホースパーク内は本当に馬だらけ!各国の競技用の馬(中には時価10億円以上の馬も!)はもちろん、普段は馬の観光施設としても利用されているので、日本ではなかなかお目にかかれない品種の馬や博物館などもあります。あまりにも広いので、徒歩ではなかなか目的地にたどり着きません。関係者はみんなゴルフカートや自転車で移動していました。こんなに広い会場なのも、パラリンピック以外では初めての体験でした。
他の競技種目と統一されたので、今までにない楽しみ方もできました。パラドレッサージの練習や競技の合間を見て、他の競技の観戦ができたことです。世界最高峰の馬術がこの目で見られるのは興奮の連続でした。日本でもジャンプ(障害飛越)やドレッサージ(馬場馬術)は比較的なじみがありますが、この大会ではドライビング(馬車競技)、ヴォルティング(軽乗=馬の上で行うアクロバット)など日本ではなかなか見られない種目も観戦でき、さまざまな意味で勉強になりました。更に、ジャンプの日本代表のひとり、杉谷選手が世界のトップ10に入る大活躍で、ムードも最高潮!
 パラドレッサージ日本代表チームもいいチームワークで、アジアで唯一団体戦に出場し、また個人でも3人の選手がそれぞれ自分の目標に近いところまで成果を挙げました。私も、オーナーやトレーナーと監督・選手・スタッフがお互い誤解のないように意思疎通するよう心を配り、また、大会組織委員会との交渉や手続きに走り回りました。あまりに頻繁に私が質問やお願いをしに行くので、最後の方では「またか」と顔に出されるほど。でもこれもすべて日本チームに不都合が生じるのを極力避けるため。組織委員会の方たちもその点は理解していらっしゃるので、事情の許す限りこちらの希望に沿うように頑張ってくださったのもとても助かりました。
そして、何よりも大会ボランティアのみなさんたちの素晴らしかったこと!雨で非常に寒くなったかと思えばカンカン照りで30度近くなるような極端な天候の中、老若男女を問わずたくさんのボランティアの方たちが毎日笑顔で働いていて、その笑顔や”Hi!! How are you doing?”のひとことでこちらもとても気分良く頑張ることができた気がします。中には、語学ボランティアの方たちも居て、主に世界中からいらっしゃる50万人もの観客のケアを担当されたそうです。現地在住の日本人も何人かボランティアをされていました。私も神戸で行われたユニバシアード大会の語学ボランティアが通訳としてのスタートだったなあ、と思うと感慨深いものがありました。
実は、このケンタッキー世界選手権大会、私だけではなくOCFLの英語通訳・翻訳科の学生も影で支えていたんですよ!パラドレッサージ競技は、「テスト」と呼ばれるプログラムに沿って人馬が演技するのですが、そのテストの英日翻訳を行ったのは翻訳基礎専攻の2年生の有志5名なのです!専門用語だらけの難しい内容だったにも関わらず、きちんと指示通りに翻訳してくれ、日本チームの3選手はその翻訳に基づいて演技を披露したのです!今後も、世界を目指す選手たちは彼女たちの翻訳したテストで競技を行います。今回の世界選手権で2012ロンドン・パラリンピックの出場枠獲得にぐぐっと前進したパラドレッサージ日本チーム。今後ともご声援よろしくお願いいたします!
[:ダイヤ:]OCFL英語通訳・翻訳科翻訳基礎専攻の学生たちが翻訳したテストはこちらからダウンロード可能です。 https://www.jrad.jp 日本障害者乗馬協会ウェブサイト→「国際競技会」→「FEIパラ馬場馬術運動課目ダウンロード」

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