公現節 (英語: Epiphany スペイン語: Epifania)
冬休み明けのOCFLでのスペイン語の授業は、恒例のピニャータ割りでスタートしました。ピニャータ(スペイン語で書くと pinata)とは、お菓子やおもちゃを詰めた紙製のくす玉人形のことです。
ピニャータ割りは、メキシコで子供の誕生日やクリスマスなどのお祝いごとの定番イベントです。ピニャータにひもをつけ、ひもの端を1人が持ち、木など高いところから吊り下げて上下させ、それを目隠しした子供が棒で叩いて割ります。その際ピニャータの中に詰めておいたキャンディなどが散らばるのでそれを子供たちが拾います。
今年のピニャータは、雪だるまです。ピニャータの遊びについては、Webマガジンでもご紹介しました。今年は人形に入っているお菓子のなかに「あたり」を入れました。この学生たちへのささやかなプレゼントは、これからお話する1月6日の「公現節」というキリスト教の祭日にちなみます。
英語圏ではプレゼントは12月25日の聖誕祭が定番ですが、スペイン、ラテンアメリカなどカトリックの影響が強い国々では、子供がプレゼントをもらえるのは公現節の日です(近年では、クリスマスが普及したので、子供たちにはプレゼントをもらえるチャンスが増えたそうです)。
公現節とは、キリストの誕生を祝福して、東方から3人の博士(英語: Wise Men of the East、スペイン語: Reyes Magos)がベツレヘムの聖母マリアを訪問し、各人がイエス・キリストに贈り物を捧げたという日です。聖書には東方とはどこか説明がありませんが、中東の非キリスト教圏の地域であると考えられます。3博士(3賢人とも言う)は、12月25日にキリストの誕生を星の出現(彗星あるいは超新星?)によって知り、ラクダにのって砂漠を何日も旅し、1月6日にようやくベツレヘムに到着したのでした。
公現節には、ドーナツ状のケーキ(スペイン語: roscon de los reyes)を焼いて切り分けてみんなで食べる習慣があります。そのケーキには小さな人形が隠してあるのですが、それが当たった人はその年幸運に恵まれるとされます。もっとも、人形があることを知らずに噛んでしまい、歯が欠けてしまう不運なお年寄りも毎年いるようです。
roscon は rosca とも呼ばれますが、スペイン語に “hacer la rosca”というイディオムがあります。文字通りには「ロスカのケーキを作る」ですが、転じて「ごまをする」という意味になります。相手の好みに合わせて一生懸命ケーキをつくることで相手に取り入ろうというのが由来です。英語なら “polish the apple” というところでしょうか。中国語では「拍馬屁」(馬の尻をポンと叩く)です。昔、こうやって相手の馬はすばらしいと褒めたようです。相手の機嫌をとるのにいろいろな方法があるのですね。
(英語・スペイン語担当 小谷)