美しい空が広がる兵庫県三木市、三木ホースランドパーク。秋色の木立に囲まれたこの地で行われた「第20回全国障がい者馬術大会」で、OCFL生3名が通訳インターンシップにチャレンジしました!
インターンシップに参加したのは英語通訳・翻訳科2年生の高良陽子さん、1年生の村松かおりさん、そして国際留学科の柴祥依さんの3名です。村松さんは夏に行われた創造社デザイン専門学校での通訳インターンシップに参加したのでこれが2回目のチャレンジですが、高良さん、柴さんにとっては初めての経験です。また、3人ともまったく未知の世界である「障がい者馬術」の通訳を行うということで、開始前はとても緊張していました。
実は、英語通訳・翻訳科を担当されている中嶋千秋先生は、日本の障がい者馬術に関する通訳の第一人者なのです。日本チームの一員として、パラリンピックや世界選手権など数々の国際大会に参加されています。その中嶋先生の指導の下、3人は全国障がい者馬術大会のために招聘された4名の外国人ゲストのアテンド通訳を担当しました。
アテンド通訳というのは、ただ単に通訳をするだけでなく、滞在中のゲストのケアも担当します。村松さん、高良さん、柴さんも会場に併設された宿泊施設に泊り込みで頑張りました。彼女達が担当したのは、オランダから来日されたヨープ選手とトレーナーのアンジェリークさん、国際クラシファイアーのフレディーさん、そしてオーストラリアから来られた国際審判員のジャンさんの4人。ヨープ選手はシドニー、アテネ両パラリンピックの馬場馬術金メダリストでオランダの勲章も受けている大スターです。子どもの頃の事故で右腕と左脚を失いましたが、不屈の精神と明るい前向きなキャラクターでトップアスリートとなりました。
3人とも慣れない環境ながらも必死で頑張り、日蘭、日豪のコミュニケーションの架け橋として活躍してくれました!また、専門用語がバンバン飛び交う国際審判員のジャンさんの実技講習会や競技中の通訳を、中嶋先生がテキパキと行っているのを間近に見て、プロの仕事ぶりに大いに感銘を受けたようです。
以下、3人の感想です。
国際留学科 1年生 柴祥依さん
私が担当した業務は、アテンド通訳、事務作業、お客様のご案内と対応です。具体的には、全国障がい者馬術大会と並行して行われた国内クラシファイヤー養成講座、つまり障がいのある競技者の障がいの部位や度合いを判断し、クラス分けを行う人々を養成するための講座の講師としてオランダより来日されたフレディー先生の身の回りのお世話や講習生との質疑応答の際の通訳、プレゼンテーション進行の事務作業、そしてクラス分けにいらっしゃった競技者や付き添いの方々の対応と案内を担当しました。
語学力をカバーするためのコミュニケーションを積極的に欠かさずとるように努力しました。質疑応答の際の通訳は、ジェスチャーだけでなく自分の体を使ったり、絵を描いたりして説明を行い、先生方や講習生の方々、そしてクラス分けを受けられた競技者の方々に納得していただけるまで粘り強くチャレンジ、コミュニケーションを図りました。「サチがいてくれてよかった」「色々助けてくれて本当にありがとう」というお声をかけて頂いた時、本当にインターンシップに参加してよかったという気持ちと、皆さんが本当に私を助けてくださっているのに、お礼を申し上げなければいけないのは私の方なのに、という感謝の気持ちでいっぱいになりました。
このインターンシップを通して学んだことは、今以上に英語力を上げなければならないこと、コミュニケーション能力の重要性、そして人から必要とされることの喜び、お役に立てることの嬉しさを学びました。このような素晴らしい機会をいただき本当にありがとうございました。
英語通訳・翻訳科2年 高良陽子さん
主に、ヨープ選手とトレーナーのアンジェリークさんのアテンドを行いました。朝食後のウォームアップから始まる練習を見学しながら、ヨープ選手に馬のことを教えてもらいました。練習中、厩舎スタッフの人たちとの会話の通訳をしました。「フリースタイル」と呼ばれる、音楽に合わせて行う演技の練習も見ましたが、音楽と馬の演技をピッタリと合わせるヨープさんの技術力にすごく感動しました。練習の合間や昼食中は、ヨープさん、アンジェリークさん、1年生の村松さんと私の4人でオランダと日本のことについて英語で話をしました。
インターンシップを通じて感じたことは、思ったように英語が話せないことでした。授業やテストで書けたり理解できる単語でも、会話では突然知らない言葉に出会ったように理解できなかったり、自分が話すときも喉元まで出かかっているのに口には出せないことが何度もありました。知識として知っていても実際に使うのはかなり難しいことだと身をもって実感しました。通訳の技術はまだまだうまくはありませんが、それでもコミュニケーションを取る上で大きな支障にならなかった点は良かったと思います。次に機会があったときはもっと早く正確な通訳ができるようにしたいです。
英語通訳・翻訳科1年 村松かおりさん
私は四日間、元金メダリストのヨープ選手とトレーナーのアンジェリークさんの傍についていました。やはりヨープ選手は関係者の間でも有名な方ですので、様々な方が声をおかけになるので、その通訳をすることが多かったです。時々、専門用語も出て、その度にドキッとさせられました。ただ、インターンシップ開始前に中嶋先生から専門用語をリストアップしたプリントを頂いていたので、それをチェックしたり、そのプリントに載っていなくても詳しく説明してくださったり、ジェスチャーを交えてくださったりしたのであまり問題はなかったです。
岐阜県の農業高校から馬の世話の手伝いをしに来ていた高校生ボランティアたちに出会い、サインをもらいたいと話していたので私の方から積極的に「通訳をしていて、ずっとヨープさんの傍にいるのでもし良ければ私に言ってください」と声をかけました。そうしたらみんな喜んでくれ、翌日私に声をかけてくれ、「彼女たちがサインを欲しいと言っている」とヨープに伝えると快く応じてくださいました。「名前も書いてほしい」と、ひとりひとりの名前を書いてもらうと高校生の子達が本当に、本当に嬉しいと感激してくれて、私も幸せな気持ちでいっぱいでした。私は翻訳基礎専攻ですが、その時に通訳という仕事は翻訳よりずっと人と人の結びつきを深める助けとなる事のできる素晴らしい職業だということに気づかされました。
また、審判員のジャンさんに翻訳を頼まれ、通訳の合間に頑張って仕上げたものを “Thank you for translating this. This is what I want.” と言って頂いた時は、翻訳の勉強をしていてよかったと涙が出そうな程嬉しかったです。
来年までしっかり馬術用語を勉強して、また来年もチャンスを頂ければと思います。